私たちって誘惑に弱いですよね?
では、なぜ誘惑に弱いのかについて考えてみましょう。
なぜ人間は誘惑に弱いのか
私たちが誘惑に負けてしまうのはある研究によると実に50%ともいわれています。
これは、衝動的な行為は大脳辺縁系に関わる最も原始的な活動だからです。
例えば、あなたがおなかが減っている時に、目の前に美味しそうな焼き立ての特別なチョコレートケーキがあるとしましょう。
ものすごく美味しそうですし、焼き立てで湯気までたちこめ、美味しそうな匂いまでしています。
その時、脳はあなたに「このケーキを食べろ!」「生きるためにカロリーを取るんだ!」という指令を出しているのです。
これはもう食べるしかありません。
脳がそう指令をだしているため、それに打ち勝つのは難しいのです。
意識をしないと誘惑に負ける様に脳がプログラムされているのです。
これはもう、生きるために仕方のないものなんです。
ここでダイエットもしていないのに自然に強い誘惑に勝てる強い意思の強い方は、きっとケーキがそれほど好きではないのでしょう。
その一方で、本当にケーキが好きなのにも関わらず、ダイエット中の自分の価値観は、誘惑に打ち勝つことができる、という実験があります。
どんな研究なのでしょうか。
ちょっと見てみましょう。
誘惑と信念に対する実験
例えばあなたがダイエットしているとします。
その時に、自分は必ずダイエットに成功する人(自己認識、信念)だと思っていると、ダイエットに成功する可能性が高くなっていくという研究です。
自分の認識(自己認識)は誘惑に打ち勝つのです。
ダイエットとチョコレートの実験
ダイエットをしている人の目の前にチョコレートが出されました。
何もイメージしていない時には、90%の人がそのチョコレートを食べたそうです。
しかし、ダイエットについて応援してくれる人の事を考えたときや、ダイエットに失敗して自分がバカにされる時のことをイメージした時には実に36%の人がチョコレートを食べなかったのです。
同じ様に、ダイエットをしている自分の事を知っている誰かに見られているというイメージをした時にも、42%の人がチョコレートを食べなかったのです。
誘惑に勝ったら誰に報告しよう、誘惑に負けたら誰にバカにされるんだろう。
- 私はダイエットに失敗した(自己認識)だと思われない
- 私は誘惑に負けた人(自己認識)だと思われたくない。
- 私はダイエットに成功する人(自己認識)なんだ!
こういう信念を持つこと、自分認識についてイメージするだけで、強い誘惑の感情を抑えられることができ、自己コントロール能力を鍛えることができるのです。
こう考えると人間は単純な生き物ですね。
逆に考えると、自己コントロール能力を鍛えるためには、まず自分の自己認識について知る事です。
では次に、人間の意識の6段階について解説していきましょう。
人間の意識の6段階
さて、これはロバート・ディルツ氏が発案した人間の意識の6段階の図です。
上から順番に解説していきます。
自分を超えた存在 自分のあり方 Being
ここは自分を超えた存在の部分です。
自分の存在、いや、自分を超えた存在、自分のあり方そのものです。
ここを覆すのはおそらく生きているうちは無理です。
自分の存在が宇宙とつながっている様なそんなイメージです。
良い悪いではなく、存在そのものがここに当たります。
決してコントロールできない部分がここになります。
自己認識 自分という存在 Who
私はこういう人間である、というものです。
自分が思う自分、自己認識の部分がここに当たります。
私はこういう人なんだ、という自分の存在、根幹の部分です。
脳の部位でいうと、呼吸を司る脳幹の部分に当たります。
意識して整えれば変わるけれど、普段は全く意識していない部分です。
ここを鍛えるには「瞑想」が効果的です。
自分の在り方を変え、自分のありのままを受け入れると言うものです。
信念・価値観 Why
なぜ私はこれを行うのか、という部分です。
私は〇(自己認識)だから〇(信念・価値観)を行う、というWhyの部分です。
自分の自己認識に基づいている自分の信念や価値観で、あなたの行動がなぜ行われるのか、の元の部分に当たります。
ここは記憶(短期記憶と長期記憶)や情動(やる気、怒り、喜び、悲しみなどの快不快)に関する大脳辺縁系と呼ばれる脳の部分と深くかかわっています。
自分の生きてきた今までの体験などを記憶し、それを喜怒哀楽などにつなげている部分になります。
私は〇(信念)だから、〇(能力)ができます、という行動を司る部分になります。
これがあるので、私は生きている、という部分になります。
能力 How
ここ部分は私は〇(信念・価値観)のために、〇(能力)ができるという自分の能力に当たる部分になります。
いわゆるHowの部分、どのようにしてそれができるのかの部分となります。
ここはものを知覚したり、運動機能をコントロールする役割をする大脳新皮質の部分となります。
未来の予想や、計算、推理する、など戦略を立ててどのように実行するか、というあなたの能力的な部分です。
この能力の部分は行動をしたことではじめて認識する部分になります。
例えば私はしっかり練習したので(行動)、50m走を7秒で走れる人(能力)になったいう具合です。
行動 What
ここは運動機能や運動神経の部分です。
Whatの部分で何をやっているかという部分です。
脳でいうと運動神経の部分に当たります。
つまり、私は何かをやっている(行動)という状態です。
私は歩いている、私は話している、という行動の部分です。
自分で意識すればすぐに変えられる部分です。
環境 When Where
この部分は文字通り環境で、いつ、どこで、です。
この部分は脳の末梢神経に当たる部分で、五感に深くかかわっている部分です。
美味しいものを見た、楽しい音楽を聴いた、心地よい空間の中にいる、など、環境も自分が変えようと思えばすぐに変えられる部分となります。
ではこの中で一番変えにくいものはどれですか?
当然、自分を超えた存在です。
では、一番変えやすいものはどれですか?
答えは、環境や行動、と言いたいところですが、半分は正解、半分は不正解です。
もちろん、上に行くほど変えにくく、下に行くほど変えやすいものです。
しかし、根幹の部分では上の部分が変えられていないと、下の部分もなかなか変えられない、変わらないのが現状です。
先ほどのチョコレートケーキの例でいうと、美味しいチョコレートケーキが目の前にある。
これは五感の刺激で環境の部分なので、一番先にすることはチョコレートケーキを自分の視界から外してしまう事です。
それが一番簡単ですが、また同じ様な場面(環境)に遭遇するとケーキを食べてしまうのです。
ケーキが必ず置いてある、視界から外せない状況だとしたらどうしたらいいのでしょうか。
環境を断ち切れない状況下では、自分はこんなことでは負けない人(信念・価値観、自己認識)の部分を思い起こさせる事で、自己コントロール能力が鍛えられ、誘惑に打ち勝つことができるのです。
これを理解した上で自己コントロール能力の身に着け方について解説していきます。
自己コントロール能力を身に着けるためにするべきこと
一番変えやすい部分は環境、でした。
じゃあ環境から変えていけばいいの?
という問いに対して、半分は合っているけれど半分は間違いでした。
というもの、環境は変えやすいけれど、行動にコントロールされています。
そして、行動は脳力に、脳力は価値観に、価値観は自己認識にコントロールされています。
そのため、まずは自分のことをよく知る事が大切です。
自分の自己認識の部分を知るのです。
つまり自分の人生に優先順位をつけていくのです。
そうすることで、自己コントロール能力が鍛えられます。
反対に、自己認識の部分がしっかりしていないと、環境だけを変えたとしてもあなたは変わらず、自己コントロール能力も身についていきません。
そもそも何を変えればいいのかがわからないし、実際にどうする事で自己コントロール能力を鍛えていけばいいのかもわからない状態に陥ります。
あなたが一番重きを置いているもの、あなたの一生をひとことでいうとあなたは誰?という根幹の部分をまずしっかりと決めておくことが自己コントロール能力を鍛えるためには大切なことなのです。
その自己認識の部分をしっかりを確立する事で確固たる自分が見つかり、自己コントロール能力が鍛えられ、夢に向かって突き進んでいくことが可能となっていくのです。
まずはあなた(の人生のゴール)はなんなのか、これを見つけていきましょう。
あなた(の人生のゴール)はなんなのか。
人生のゴール(目的)が決まることで、自己コントロール能力が確実にアップします。
まず、人生の目的を見つける(信念・価値観、自己認識)
ここで人生の目的を見つけるための質問をいくつか出しておきます。
ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
あなたの人生の目的を見つける質問(抜粋)
- あなたの夢は何ですか?
- 朝起きてあなたが活動するのはなぜですか?
- あなたが今までで一番つらかった事は何ですか?
- あなたの成功を喜んでくれる人は誰ですか?
- あなたの強みを5つ答えて下さい
- 未来の自分はどうしていますか?
- あなたの夢をかなえるためにどんな障害がありますか?
この質問で、あなたは一体どんな人なのか。
人生の目的が決まった上で、人生の目標を決めていきましょう。
そして、本当にその誘惑はあなたにとって今、必要な事なのかを一度考えてみるのです。
自分の自己認識や自分の信念・価値観が明確になったその後で、じゃあどうしたらいいのか。
自分はどういう能力を身に着けていけばいいのか。
その能力を身に着けるために、自分はどういう行動を取ればいいのか。
その行動を行うためには自分はどんな環境に身を置くべきなのか。
と、ひとつづつ階層を下りていくイメージです。
自分の生きる目的が決まった次に、目標に向かって計画を立てるのです。
目的が見つかったら、戦略的に計画をたてる(能力)
人間は状況によってモチベーションが変わります。
自分のやりたい目的がしっかりと定まっていれば、おのずと目標が定まり、やる気が出てきます。
そのため、自分の優先順位を上ける戦略(能力)をどれだけ知っているか、つまりは、習慣術や計画術が大切となってきます。
大きな人生の目的を作ったら、そこから自分の信念や価値観に落とし込み、小さな目標を設定します。
その上で、今度は自分の能力を使って戦略を立てていき、行動を変えるために環境を変えていくのです。
という事で、ここまでをしっかり理解したうえで目標に向かって自己コントロール能力を鍛えていきます。
目標に向かって突き進む(行動、環境)
まずはできる範囲の現実的な小さな目標を立てていきます。
その確実な目標があなたを成功に導いてくれます。
行動や環境を変え、自己コントロール能力を鍛えて、誘惑を断ち切っていきます。
もうすでにあなたは自分がやらなくてはいけないことはわかっています。
が、誘惑はあらゆる場面にあります。
あらゆる所からあなたの五感に誘惑という刺激を与え続けてきます。
では、具体的にどうしたらいいのか。
ここまで理解した上ではじめて誘惑に打ち勝つための具体的な行動や環境を解説していきます。
自己コントロール能力を発揮し、誘惑に打ち勝つための具体的な方法
誘惑は環境を通して、五感に訴えかけてきます。
その誘惑に打ち勝つためには、五感を遮り、誘惑を断ち切っていきます。
自己コントロール能力が鍛え、誘惑を断ち切る五感を利用した環境作り
誘惑を断ち切るためには、誘惑の少ない環境、これに付きます。
これは誘惑を断ち切るものそうですが、誘惑に負けないで一緒に頑張る仲間を近くにおくという方法もあります。
一緒に頑張っている仲間を近くで見る事で五感が刺激されやる気が出るため、そういった逆の意味での環境を整える事も重要です。
勉強であれば勉強部屋を作る。
勉強を一緒にやってくれる仲間を作るなどです。
ここで五感に訴えた自己コントロール能力を鍛えるアプローチについて解説します。
自己コントロール能力を鍛える視覚的アプローチ
誘惑してくる様なものを見ない。
近くに置かない。
目に入らないようにしておく。
共に頑張る仲間と共に行う。
具体的には、ダイエットをしている時には、ケーキなどを机の上に置くのではなく、扉の中の奥の方にしまうなど、視覚からの刺激をなくすという方法です。
また、色でいうと、集中したい時には青を近くにあるといいです。
青には長時間いても疲れず、集中力や判断力を高めてくれる効果があります。
ちなみに、リラックスしたい時にはベージュや茶色、
想像力を高めたい時には黄色などがおすすめです。
他、赤い色はやる気が低下するという報告があるので、ちょっと注意が必要だという事も心にとどめて置いてください。
自己コントロール能力を鍛える聴覚的アプローチ
実際に聴覚からの刺激も重要です。
やる気が出る音楽やリラックスできる音楽をかけたりすることもおすすめです。
反対に気になる物音や騒音は避ける事です。
具体的には、自然の音、クラシックなどは集中力をアップさせます。
脳の中にα波を出すことにより、リラックスした気持ちで物事に取り組むことができる様になります。
また、騒音や物音はそれだけで注意力が低下するため、もし環境が帰られないのであれば耳栓を使用する事も検討してみてください。
自己コントロール能力を鍛える味覚的アプローチ
また、味覚的では、食事によるアプローチの方法を記載します。
すこし環境を整える事からは脱線しますが、例えば青魚に代表されるサバなどはDHAやEPAが沢山入っているので脳科学の観点からもおすすめです。
また、リズム運動で集中力が鍛えられるため、ガムなどを規則的に噛む、など咀嚼運動も集中力をアップし、自己コントロール能力が鍛えられます。
ダークチョコレートはカカオポリフェノールがふくまれていたり、牛乳ではチロシンが最終的にはアドレナリンに変化するのでやる気を出す時には常備しておきたい食べ物です。
そして、一番は水、です。
水分補給をしていかないと 体自身が疲れてしまうので、これは必須条件となります。
自己コントロール能力を鍛える嗅覚的なアプローチ
実は香りは情動と深くかかわっています。
そのため、自分のやる気が出る好きな香りをインプットさせておく事で、常同に訴え自己コントロール能力を鍛える効果も期待できます。
具体的に大きな研究報告があるわけではありませんが、柑橘系の香りやペパーミントなどスッキリしたアロマやハーブ系のものは元気にさせ、やる気を出させるのではないかと言われています。
試してみてもいいかと思います。
自己コントロール能力を鍛える触覚的なアプローチ
また、やる気を出すため、自己コントロール能力を鍛えるためには、自分の中で、ある特定のポーズを作るというものありです。
特定のポーズを作る事で脳に刺激を与え、やる気を起こさせることができます。
自己コントロール能力を鍛えるための行動的なアプローチ
未来を予想した行動を取る
誘惑に打ち勝ち、自己コントロール能力を鍛えるために自己認識について考えました。
つまり、自分の未来について想像し、その目的に向かって突き進んでいくことで結果として自己コントロール能力が鍛えられるのです。
今、現在と未来を含んだ選択肢を入れておく事が大切です。
例えば、今、勉強しなければいけない環境だったとして、でも勉強したくなかった時には、未来を考えて行動する事が大切です。
今、ここで自分が勉強しなかったら、試験にはどうなるのかなどを想像するだけです。
実際に目の前にケーキがあった時に、ここですぐにケーキを食べてしまうのか、それとも少し待ことで自分が本当に食べたいものを食べるのか、などと未来の事を考えるだけで人の行動は変化します。
未来を想像することも大切ですし、期限を決める事も大切です。
目標には期限を決める
例えばあと1週間でテストだとしたらどうか?
その時に自分が今ここで勉強しなければどうなるのか、など、まずは、期限を自分で決めます。
その上で自分のテストの成績が悪かった時に、人は自分の事をどう思うのか、その先の未来には何が待っているのか、までを考えると、自己コントロール能力が高まったという研究もあります。
自分を信じて具体的な行動に落とし込む
他にも、この洋服を着る事により、みんな成功してきた、と聞かされる、と人はどうなるのか、という実験があります。
その結果、実際にその洋服を着た人達は、そんなことを全く聞かされていないグループの人よりも成功する確率が上がりました。
洋服はどんなものでも大差はありませんでした。
人間は何かを聞かされたことで自分もできると信じコミ、その結果自己コントロール能力が上がり、実際に成功する可能性が高まったという研究です。
自分を信じて突き進むことで自己コントロール能力が鍛えられ、結果として成功する可能性が高まります。
成功者の未来を見せる事も重要です。
また、適度な運動も自己コントロール能力がアップします。
どんなやり方でもいいのです。
自分に合う方法を見つけて、それを信じて突き進むことが一番の秘訣なのです。
まとめ
以上、自己コントロール能力を鍛えて誘惑に勝ち、成功する唯一の方法はまずは自分を知る事、について解説しました。
まずは自分とは何か、自分はどんな信念や価値観を持っているのか、を知る事です。
自分はどういう人物なのか、なぜこの行動をしているのか。
その上で、成功するために、自己コントロール能力を鍛えるための戦略を立てます。
そして、最後に行動や環境に具体的に落とし込んでいくわけです。
こうすることで、自己コントロール能力を鍛えるための具体的な環境や行動の対策がすっと頭に入っていき、成功体質になれるのです。
信じるものはすくわれる。
これは科学的にもあながち間違ってはいないのかもしれません。